居場所をください。
風呂の支度をしてからは
弘希とソファに座って
ついてるテレビを流すように見ていた。
「父さん、電話なってるけど。」
「………え、あぁ…悪い。」
弘希に言われて、俺はスマホに手を伸ばした。
………もう5時か。
"着信 亜樹"
なんだ?ずいぶん珍しいな。
「もしもし?どうした?」
『あー、仕事中?』
「いや、家だけど。なんで?」
『美鈴は?今日仕事?』
「いや、休み。」
『あのさー、あいつどこにいるか知らない?』
「なんで?」
『いや、瑠樹…高橋瑠樹っていう美鈴の友達がさ
なんか飯いく約束したらしくて待ってんだけど
30分たってもまだ来ねーし
電話も全然出ねーつってキレてるのか
心配してんのかわかんねー状態なんだよね。
だからひかるくんに聞いたらわかるかなーと。』
「………俺は今日会ってないからわからない。
悪いな。」
『いや、わかった。じゃ。』
亜樹はそういって電話を切った。
それから俺も念のため美鈴に電話を掛けたけど
電源が切れてて呼び出し音すらならなかった。