居場所をください。
「どうかした?」
「ん?いや、別に。
ってかさ、弘希って指定校推薦なんだろ?
指定校の場合そろそろ結果、出るんじゃねーの?」
「いや、今週末に面接。
結果は来週。」
「ふーん。
ま、指定校ならまず落ちねーだろうし
心配いらねーか。」
美鈴のことから気を反らすために
俺はひたすら弘希と会話をした。
黙ってると気になって仕方なくなるから。
そんな俺のところに
また違うやつから電話が来た。
"着信 松野貴也"
これまた珍しいやつから。
「もしもし?」
『お疲れさまです。』
「あぁ、お疲れ。」
『今日美鈴と会うのやめたんですか?』
「あー…まぁそんなとこ。
なんで?」
『いや、なんか美鈴が
会わなかったって言ってたんで。
飯食ってくんのかなーと思ったら
さっき電話で友達と食いに行くって言ってたし』
「え、美鈴と電話した?
それっていつ頃?」
『えー、もう結構前ですよ。
4時過ぎくらいですね。』
「………なんだ、そんな前か。」
『なんかあったんですか?』
「いや、なんか美鈴の友達の高橋瑠樹
知ってるだろ?
そいつがさ、美鈴が約束の時間から
30分以上たっても来ないし
連絡もないからって
俺のところに連絡してきたから。」
『え、そうなんですか?
でも俺のところにはさっき
今日遅くなると思うってメール来ましたよ?』
「え、さっきっていつ?」
『ついさっきです。
長曽我部さんに電話する数分前。』
………でも俺がさっき電話したときは
電源切れてたよな…?