居場所をください。



………こんな高いとこにいんのに

俺はなんにも見えない。

今美鈴がどこにいるのか

悪さしてるやつがいねーか

ここから監視できたらいいのにな。


そんなくだらないことを考えながら

俺はまたスマホをいじる。

そして俺はまた違うやつに電話をかけた。


『…もしもし?』


「あー、寝起き?」


『当たり前。

こっちはこれから仕事だっつーのに。

で、なんか用?』


「あぁ、ちょっと大和に頼み事があって。」


昔からのツレ、大和。

樹生より落ち着いて話を聞いてくれるし

空気もめちゃくちゃ読めるやつだから

話をするときはこいつが一番。

樹生の扱い方もうまいしな。


『ひかるが頼み事とか珍しいじゃん。

なに?』


「仕事前で悪いんだけど

美鈴を探してほしいんだよね。」


『は?美鈴ちゃん?なに、行方不明?』


「どちらかといえば誘拐。」


『は?え、まじで言ってる?』


「じゃなきゃこんなこと頼まない。

お前ら昔のやつらとまだ繋がってるだろ。

樹生も叩き起こせ。

美鈴が見つかるまで店も開けんな。

俺からの命令だっつって人集めろ。」


『…じゃあ美鈴ちゃんが見つかんなかったら

この街は静かなままだな。

わかったよ。で、ひかるはどこにいんの?』


「俺は家。

今日は里美来てるし、頼むわ。」


『あー、再婚するんだってな。

この前里美さん来たわ、そういや。』


「そ。

まぁ頼んだわ。」


『了解。

まぁなにかわかれば連絡するわ。』


………ま、これでいいか。



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