居場所をください。
「見て、これ。」
ダイニングテーブルに座ると渡された
1枚の紙。
"警部へ昇進"
「………え、まじで?」
「うん。まぁね。
ほら、私交番勤務から署へ移動になったじゃない?
それからもう数年たったし、国家公務員だし
昇級試験受けたの。で、合格したの。」
「へー、すごいじゃん。
おめでとう。」
「ま、女上司なんて嫌がられるけど
ついに捜査一課、課長だよ。」
「でもさ、本庁にはいかねーの?」
「行けないよー。まだまだ。
そういうのはね、もっといい大学を出た人。
超学歴重視だしね。
それに所轄は所轄でいいところだし。」
「ま、地域性大事にしてるもんな。」
警部、か。
ほんっと頑張ってんな。
俺がガキの頃からこの仕事に
誇り持ってたもんな。
「なぁ、もう食っていいの?」
隣にいる弘希は箸に触れることなく
俺らの会話が終わるのを待っていた。
「あぁ、悪い。」
「じゃあ食べよ!」