居場所をください。
亜樹side
***
━━━ピンポーン…
エントランスをタイミング良く入り、
俺は"長曽我部"のインターホンを押した。
「はい。
…………あら、あなたは…」
「ちょい邪魔するわ。」
出てきた女を無視して、
俺はずかずかと中へ入った。
「…………ひかるくんは?」
だけど、目的の人物は
リビングにはいなくて、
その息子だけがソファに座り、
女は後ろから追いかけてきた。
「風呂。」
弘希は俺を見ることすらしないで
俺にそう答えた。
だから俺はこの女の制止も無視して
風呂場へと向かい、躊躇なくドアを開けた。
「よう。」
「………さすがに風呂覗くのはなしじゃね?」
「ならさっさと出ろよ。
リビングで待ってるから。」
俺はそういって風呂のドアを閉めて
ずかずかとまたリビングに入り、
勝手にソファへと座った。
「ちょっと!
いくらなんでも失礼なんじゃないの!?」
「まだ籍入ってないんだろ。
あんたにそんなこと言われる筋合いねーよ。
こっちは血の繋がった従兄弟なんだからな。」
このうざい女も、ようやくそれで黙った。