居場所をください。
「すぐに警察が来る。
観念するんだな。」
大和が冷静にこの男にそういうと
男は何かが切れたように暴れだし、
ポケットからナイフを取り出した。
「……そんなもんが、
俺らに通用するとでも思ってんのか?」
そんなものは怖くない。
ナイフを振り回してた俺らが
こんなやつが振り回すナイフなんか
怖くも痒くもない。
「…ああぁぁぁぁ!!」
そう叫びながらナイフを振り回しながら
俺に向かってくる男を
「ぐっ…!!」
大和が蹴り飛ばした。
倒れた男の手首を
俺は踏みつけて、ナイフを手から離させた。
「……やめて。」
だけど、そんな俺らを
美鈴が止めた。
「…………ごめん、和也。」
美鈴は、辛そうな顔をして
倒れたこの男に近づいた。
「美鈴、あぶねーから」
「大丈夫。
…和也は和也だよ。」
美鈴が俺を見つめてそういうから
俺はもうなにも言えなかった。