居場所をください。
リビングに戻ると、
美鈴はキッチンに立っていた。
「あの、貴也…」
「美鈴、俺のこと怖い?」
「え?や、怖くないよ。」
「じゃあ俺にキスして。」
俺はそういって、対面式で
逃げ場のないキッチンへ入った。
「貴也らしくないよ?」
美鈴は笑いながらそういうけど
目は完全に泳いでる。
「…たまにはいいだろ?」
俺は美鈴に目線を合わせたけど
美鈴は全然俺の方を見ないから
「…やっ!」
俺は美鈴の腕を掴んで引き寄せ、
キスをした。
「…んっ…イヤ!」
で、結局突き飛ばされた。
「…ってぇ…」
「あ、ごめ…」
「………俺のこと怖いならそう言えよ。
別に無理して一緒にいなくていいから。」
そういって、俺はリビングから出て
いつもはあまり使ってない部屋に入り、
鍵を閉めた。
……美鈴が悪くないことはわかってる。
…………わかってるけど…
あそこまで拒絶されるとさすがに傷付く。
こういう時、出てくるのは決まって長曽我部さん。
彼氏は俺じゃねーのかよ。
一番傷ついてんのは美鈴なのに…………
俺は自分の感情すら、コントロールできなかった。