居場所をください。



「ついでに、

美鈴ちゃんに構うなって言われてんだから

嫌われても知らねーぞー」


「…そんなことが怖くて

保護者なんてやってられるか。」


俺はもうそれだけ言って店を出た。


…………ったく、

タクシー全然いねーじゃん。

朝方まではたくさんいるくせによ。



仕方ない、駅まで行くか…………


「ひかる!」


「……大和」


「車、乗ってくか?

俺は酒のんでねーから。」


「…………頼むわ。」


「ったく、世話の焼けるやつだな。」


「うるせーよ。」


ってことで、俺は大和と車に乗り込んだ。


「でも、何軒も回れないからな。

俺も眠いし。

電話で聞けるところは電話しろよ。」


「……それもそうだな。」


とりあえず俺は、美鈴の育った

施設へ電話を掛けた。


『はい、野いちご園です。』


「朝からすみません。

美鈴を引き取った長曽我部です。」


『あぁ、今日はどうされましたか?』


「美鈴、そちらへ行ってませんか?」


『え?いえ、来てませんよ。』


「そうですか…

もし来たら連絡いただけますか?」


『わかりました。』


「失礼します。」


ハズレか…………



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