居場所をください。


「ハズレか?」


「あぁ、でももう一軒

心当たりはあるから。」


俺はまた電話を掛けた。


『おう、なに』


「まだ家?」


『そうだけど』


「父さんちに美鈴、行ってねぇ?」


『いや、来てない。

美鈴どうかしたのか?』


「…いや、いないならいい。」


俺はそれだけ言って電話を切った。


「はは、親父さんかよ。

つめてーな。」


「朝は機嫌悪い親父だからな。」


にしてもまたハズレ…


「…………今度はパソコンかよ。」


「俺の準備のよさに感動するわ。」


「で、なに調べるわけ?」


「会社の入社IDを見るんだよ。

美鈴が会社に行ってりゃ履歴が出る。」


会社の管理システムにログインして

今日の履歴を見ても

美鈴のID番号は見つからなかった。


受付で借りられる仮IDもなし、か。


「会社もハズレ。

…………あいつ、どこにいるんだよ…」


「他に美鈴ちゃんが行きそうなとこないわけ?」


「…………まぁ、母親の墓とかあるけど

墓に何時間もいられないだろ。」


どこだよ、くそ…


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