居場所をください。
佐藤さんを部屋に招き入れて
とりあえずテーブルを挟んで座ってもらった。
「で、長曽我部さんに内緒で
なにをしてるの?」
「………佐藤さんさ、誰かからなにか聞いてる?」
「事件のことなら長曽我部さんから。」
「そか。
長曽我部さんさ、私の担当じゃなくなるでしょ?」
「あ、ついに聞いたんだ。」
「うん。
で、年明けたら前の奥さんと結婚するんだ。
長曽我部さん。
私から外れて時間ができるからだって。」
「………それは長曽我部さんがそういったの?」
「ううん、子供から。
長曽我部さんがそう言ってたんだって。」
「…………そっか。」
「もう、私に時間取らせるわけにはいかないな
って思ったの。そのためにはさ、
私にはもう長曽我部さんの助けは
必要ないよってことを伝えなきゃいけないと思って。
…………私が家出しただけで
長曽我部さん、ここまで来たから……
来年からはそういう心配、かけたくないの。
…だから、私は私にできることをしようと思って
…………というかね
私にはまだ、しなければならないことがあるの。」
「…なに?」
「私はまだつぼみのままだから。」
この花と一緒。
私は、つぼみのまま枯れるわけにはいかないから。
長曽我部さんが私を咲かせると言ったあの日、
私は心の中で誓ったんだ。
長曽我部さんを魅了する
美しい花を咲かせるんだって。