居場所をください。



そして、とりあえず亜樹の部屋に戻り


「みんな来てくれてありがと!

私ちょっと仕事してくるから!」


とそれだけ言って、ドアを閉めた。


…………にしても、

社長も佐藤さんもどうして私が

これを聴いてないってわかったんだろ。


「あれ、マネージャーさん帰っちゃった?」


「あ、うん。ごめんね。

そのお茶両方もらうよ。」


おばさんが、一歩遅く来たから

私のパソコンの横にはお茶が二つ。


「…やっぱり美鈴ちゃんは

仕事してるときが一番生き生きしてるね。」


「ふふ、今回の仕事は

はじめて自分からやりたいと言ったことだから

まぁ余計にね。」


「そっか。

じゃあご飯出来たら呼ぶけど

キリが良いときでいいからね。」


「うん、ありがと。」


「頑張ってね。」


おばさんはそういって微笑んで

優しくドアを閉めた。


…………きっと、ファンに向けて

もっともっと"ありがとう"を

伝えるべきなんだと思う。

だけど…いつもそばにいてくれた

長曽我部さんにすら伝えられない私が…

長曽我部さんにすら言えない私が

まだみんなに言う資格なんてないんだ。


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