居場所をください。

亜樹side




***


「じゃーねぇ、亜樹。

美鈴ちゃんによろしく!!」


「はいはい。」


結局藍子も来て勢揃いだし。

つーか朔也と瑠樹テストだろ。

勉強しねーのかな。


「よう。」


「…………俺?

あー…美鈴の彼氏。」


ファミレスを出てすぐそこの家に帰宅途中

いきなり出てきた松野貴也。

…………もしかして待ち伏せか?


「なんか用?」


「美鈴、お前んちにいるんだろ?」


「あー、ひかるくん?言ったの。」


「そう。」


「それが?

もしかして、連れ戻しに来たわけ?」


「……そこまでは考えてねーよ。

ただ…」


「ケンカしたから謝りたい、とか?」


「……まぁそんなとこ。」


「ふーん。

でもあいつ今忙しそうだし

やめとけば。今はあんたのこと

考えてる暇なんてなさそうだけど。」


「は?」


「それに…あんた、

美鈴から怖がられてんじゃねーの?」


俺のその問いかけに、

こいつは言葉を返しては来なかった。


「今お前らが一緒にいても

お互い気遣ってしんどいだけだろ。

諦めろよ。」


俺はそういってこいつの横を

通りすぎようとしたけど


「待てよ。」


こいつは俺を通す気はなかったみたいだ。



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