居場所をください。
「…別に告ろうとか奪おうなんて思ってねーから。
ひかるくんにも言われてるし。」
「本当にそれでいいわけ?」
「はぁ?じゃあ言っていいのかよ。」
「別に。どっちでも。
俺は自信あるから。
美鈴は、俺以外の男は選ばない。
だから言いたきゃ言えば?」
「…………言っとくけど、
俺は美鈴に触っても平気なんだよ。
お前と違って。」
「そんなの、どうせ血が繋がってるからとか
雰囲気が長曽我部さんに似てるからとか
その程度の理由だろ。
もっと言えば、お前は男として
全く意識されてねーんだよ。
俺の予想だと多分、
高橋ってやつも美鈴に触れない。
あいつは友達だけど、ずっと男と意識は
してたはずだからな。
恋愛の話もしてたくらいだし。
多分長曽我部さんの子供は美鈴に触れる。
あいつも男として意識はされてない。
…………とにかく、
俺はその程度で惑わされたりしねーから。
お前とは違うからな、俺は。」
「…………お前さ、どんだけ自信過剰で
どんだけむかつく性格してんだよ。」
「お互い様だな。」
「とにかく、俺は言わねーから。」
「なんで?」
「…………大事に思ってるから。」
「ふっ、ほんっとそういうとこ
長曽我部さんそっくりだな。
相手のことを思って本当のこと隠すとこ。
美鈴が幸せならそれでいいってやつか。
ま、俺はどっちでもいいけど。
あいつは俺の彼女だから。
これからも、ずっとな。」
「その自信はいったいどっから出てくるんだか。
ま、いいわ。話はそれだけ。
美鈴のことが気になんなら連絡すれば。」
そういって俺は自分の連絡先を紙に書き
松野貴也に押し付けた。
「とりあえず今は俺の父さんと仕事中。」
「ふーん、わかった。
とりあえず送るわ。」