居場所をください。
「あ…亜樹さんおかえりなさい…」
後ろには当然、亜樹が
怒りに満ちた顔で私を見下ろし
睨んでいた。
「テメーの彼氏は無断で写真を載せる
非常識人間だったのか?」
「い、いや…そんなはずはないんですけどね…
はは」
「笑って誤魔化してんじゃねぇ」
「ごめんね、うちのタレントが
本人確認もせずに。」
そこに、佐藤さんが間に入ってくれた。
「でも、許可したのは長曽我部さんだから。
責めるなら長曽我部さんにしてくれないかな。」
佐藤さんがそういうと
亜樹は怒りに満ちた顔のままだけど
私の手を離した。
「これ。」
そして、私に持っていた紙袋を差し出した。
「なにこれ。」
「お前らのサインがほしいんだと。」
「え、こんなに?これ全部?」
「そう。」
その中を見ると
色紙やら私のCD、写真集
貴也のポスターや映画パンフレットなど
かなりの数が入っていた。
「これは一度こちらで引き取るけど
これ全部にはサインできない。
サインって、あんまり書かないから
価値があるものだからね。」
佐藤さんはそういって
とりあえず紙袋を受け取った。
「ま、でも君が責められないようにはするし。
数日預かるね。
じゃあ美鈴ちゃん、行こう。」