居場所をください。
挨拶を終えると、上田さんと長曽我部さんは
さっさと現場から去っていった。
そして番組スタッフも
見たことないくらいのスピードで片付け
貴也に挨拶をし、帰っていった。
「じゃ、明日は俺が迎えに来るからね。」
と佐藤さんまで。
「………すごい。
まだ数分しかたってないのに
もう誰もいなくなった。」
………一人を除いて。
「さーて、出掛けるか~。」
「なんでお前がそれを言うんだよ。」
「隼也、仕事は?」
「もちろんもうないけど?
二人とも出掛けるんだろ?
俺もつれてってよ。」
「はぁ?」
「俺ら3人で出掛けたことなんて
片手で数えられるくらいしかないからね!
だいたい貴也は美鈴が来てから
完全俺のこと放置だし!
美鈴は貴也がいないときだけ
俺に連絡してきやがって!
二人とも俺のことをなんだと思ってんだ!」
………なんなんだ?この人は。
なに怒ってんの?
「………ったく、うるせーな。」
「ま、たまには3人もいいかもね。
それでネットニュースに上がったら
ちょっと嬉しいかも。」
「そういうときに限って撮られないけどな。
ま、時間もねーし行くか。」
う、わ…家の中で手を繋いだよ、この人は。
完全に隼也意識でしょ。