居場所をください。
と、結局私も貴也も
途中から会話がなくなるくらい
すごく真剣に服を選んだ。
基本的に貴也もオシャレだしね。
「ってかさ、そろそろ隼也のとこ
行った方がいいんじゃね?」
そんな風に貴也から話しかけてきたのは
別々に服を見出して30分以上たったころだった。
そして、貴也の手には数着の服。
私の手にも、3着。
「………まぁ、これを選別してからだね?」
「だな。」
ということで、これはいい、これはやだ、等
散々言い合って、3着まで絞り
私たちは二階へ向かうことにした。
「子供服も結構あるんだな~。」
「そうだよ。
ちっちゃくて可愛すぎじゃない?
これとかめっちゃ大人っぽいよー。
大人の服をそのまま小さくしてるから
当たり前なんだけどさ。」
なんて、私たちは二階へいくと決めたくせに
子供服を見始める始末。
「…ほら、あそこの家族とか
みんなでお揃いだよ。」
なんて、他の家族の観察までして。
「へー…いいもんだな。」
「可愛いよね。
幸せな家庭、みたいな。
憧れるー…」
ああいう普通の家庭に
何回憧れたかわからないけど
施設を出た今でも憧れることに変わりはない。
今度はもう子供としてではないけど
女として、憧れない人はいないだろう。
「あ、これ!かわいい!」
「………これ?部屋着じゃん。」
「えー、だめ?」
「まぁいいけどな?」
なんて貴也は私が見つけたルームウェアを
優しく微笑みながら手に取った。
「家でもかわいい服着てたいし。」
「はいはい、わかったよ。」
やったね。
貴也も絶対お揃い好きだよね。
いつもなんだかんだお揃い買ってくれるしね。