居場所をください。



と、結局私も貴也も

途中から会話がなくなるくらい

すごく真剣に服を選んだ。

基本的に貴也もオシャレだしね。


「ってかさ、そろそろ隼也のとこ

行った方がいいんじゃね?」


そんな風に貴也から話しかけてきたのは

別々に服を見出して30分以上たったころだった。


そして、貴也の手には数着の服。

私の手にも、3着。


「………まぁ、これを選別してからだね?」


「だな。」


ということで、これはいい、これはやだ、等

散々言い合って、3着まで絞り

私たちは二階へ向かうことにした。


「子供服も結構あるんだな~。」


「そうだよ。

ちっちゃくて可愛すぎじゃない?

これとかめっちゃ大人っぽいよー。

大人の服をそのまま小さくしてるから

当たり前なんだけどさ。」


なんて、私たちは二階へいくと決めたくせに

子供服を見始める始末。


「…ほら、あそこの家族とか

みんなでお揃いだよ。」


なんて、他の家族の観察までして。


「へー…いいもんだな。」


「可愛いよね。

幸せな家庭、みたいな。

憧れるー…」


ああいう普通の家庭に

何回憧れたかわからないけど

施設を出た今でも憧れることに変わりはない。

今度はもう子供としてではないけど

女として、憧れない人はいないだろう。


「あ、これ!かわいい!」


「………これ?部屋着じゃん。」


「えー、だめ?」


「まぁいいけどな?」


なんて貴也は私が見つけたルームウェアを

優しく微笑みながら手に取った。


「家でもかわいい服着てたいし。」


「はいはい、わかったよ。」


やったね。

貴也も絶対お揃い好きだよね。

いつもなんだかんだお揃い買ってくれるしね。


< 3,901 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop