居場所をください。



「美鈴、行くぞ」


「…うぇぇ!?」


そんなことを考えながら

近くの服を見てると

いきなり手を掴まれエスカレーターに

勢いよく乗らされた。


「な、なに…」


「まぁあとはスピードで

近寄りがたい雰囲気作るしかねーんだよ。」


………えーと?

警備員が来たところで

隼也を連れ出してきたってことか?


「………隼也はなんか疲れてるね」


「………うるせ」


なんて、私たちの会話は超小声だ。

すぐ後ろにやっぱり着いてくるから。


「店出たらすぐタクシーな。」


「うん。」


………でも、タクシーのってどこへいくのか…


「集まる前に抜け出せよな。」


「まぁそうなんだけどさ

最初のやつにでかい声で名前呼ばれて

思わず振り返っちゃって。

そしたらもう逃げられねーじゃん?」


………まぁねぇ…

シカトしたらイメージダウンだもんなぁ…


ただ買い物に来ただけなのにね。

数人なら全然嬉しいんだけど

大人数になっちゃうと

困ることの方が嬉しい気持ちより大きいから

………なんだか、やりにくい。


改めて、

一般人の生活はできないんだなって

思い知らされた。



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