居場所をください。
外に出ると、長曽我部さんの車が止まってたから
私は助手席のドアを開けて乗り込んだ。
普通、タレントは後ろに乗るけど
私はいつも助手席。
誰かの後ろに着いていくだけなんて嫌だから。
かといって前を歩くのも嫌。
私はいつも同じ速度で同じ景色を
誰かと見ていたいから。
「お待たせしました~!」
「なんで今日はさっきからそんな元気なんだよ。」
「元気な方がいいでしょ?
それよりお腹すいた。」
「はいはい。」
この人と同じ景色を見る時間は
これからどんどん減っていく。
だから今のうちに、今の時間を
大切に過ごしていくんだ。
いつまでも温室の中の
安全地帯にいることはできない。
だから今だけ。
今だけはまだ私が一番近くにいたい。
「カフェでいい?」
「うん、いいよ。」
私はまだ甘えられる環境に甘えていたい。