居場所をください。
しばらくして会社につき、なぜか私も下ろされた。
「なんで私まで…眠いのに~。」
「美鈴が必要だからだ。
他にどんな理由でわざわざ連れてくんだよ。」
まぁそうなんだろうけどさ…
「あ、そうだ。
明日ジャケ写撮影なんだけど
黒のウィッグ持ってきて。」
「え、なんで?」
「お前の初心を撮りたいんだと。
これ、企画書。」
「んー?」
歩きながら渡された書類には
ジャケ写や歌詞カードのデザインが
細かく載っていた。
「美鈴は泣けるよな?」
「まー泣けますね。」
ジャケット写真には、恐らく渋谷の交差点で
私が涙を流して空を見つめているもの。
そして後ろは今の私が人混みの中で
誰かの腕に触れ、笑ってるもの。
「これ、スタジオでとって直すの?」
「いや、渋谷で撮る。」
「…人混みの中で?」
「そ。
警察にはもう許可もとってあるしな。
エキストラは使わない。
まぁ後ろは全部ぼかすから。」
なんだそれ…すごく大変じゃないか?
「テーマは"私が手にいれたもの"だとさ」
………なんだそりゃ。
誰の指示なんだ、全く。