居場所をください。



それからは黙々と、ひたすらに

体を起こしていた。

寝て、起きてを繰り返していた。


「……あぁぁー、終わった…」


やっぱり、何年やっても腹筋400回は

なかなかキツいものだ……


「2分休憩な。」


たった2分。

まぁ時間がないから仕方ないんだけどさ。


「……私はまだ、諦めてなんかないですよ。」


「は?」


「さっき言ったじゃないですか。

私もそうなりつつある、って。

貴也と一緒だって。

でも、私たちはまだ諦めてないです。

というか、再スタートをきったんです。

私たちも、ようやく誰かのために

頑張りたいと思えるようになったので。」


いつだって自分が一番かわいそうで

自分が一番可愛かった私だけれど


誰かのためになにかしてあげることが

すごく難しいことだったとしても

それを諦めたくないって思うようになったんだ。


自分を犠牲にしてもいいなんて思えるほど

誰かを想っている。

……なんて綺麗事は言わない。


その誰かのためにも、私は

誰よりも幸せになってやるって決めたんだ。

自分が一番幸せだと、胸を張って言えるために。


「ま、私も貴也もその場所が

ここだったってことですかね。」


こんな場所でも こんなところでも

私たちは私たちなりに幸せになるんだって。


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