居場所をください。
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「よし、時間だし終わりだな。」
「え?で、でもまだ一回しか
通してないですけど…」
「俺に指導されたいのか?
その歌をうまく歌うために
俺の指示を聞くのか?」
……え?
「それはお前の心の叫びだろ。
なら、あとはお前の歌い方で
お前なりの伝え方をすればいい。
その曲を伝える相手は
一人しかいないんだろ?
だったら俺の指導なんか必要ないだろ。
ちゃんと高い音も出せるように発声した。
俺にできることはそこまでだよ。
あとはお前の気持ち次第。
だからさっさと行けよ。時間ねーぞ?」
「先生…
……はい!ありがとうございました!」
この声が崩れないうちに録りたくて
私は急いで部屋を出た。