居場所をください。
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「じゃ、長曽我部さんのマンションまで送るね。」
「うん、お願いします。」
初めてかもしれない。
あんなにすんなりと終えたレコは…。
誰にも、なんにも指摘されることなく
あんなに静かになったスタジオも。
「……なんかさ、佐藤さん
若干感動してたでしょ。」
この佐藤さんですら、目が潤んでいたことも。
「はは、バレてたか~。
……なんかさ、俺はずっと見てたから。
美鈴ちゃんが悩みまくって
あの曲を作っていく姿をさ。
それがついに完成するんだな~って思ったら
なんか嬉しくなっちゃって。
マネージャーの仕事始めてから
初めてだよ、あんな嬉しくなったの。」
佐藤さんがそんな風に言うから
こっちまで胸の奥が熱くなる。
まだまだ佐藤さんのことは
わからないことが多いけど……
それでも、こんな佐藤さんは
私しか知らないと思うと嬉しくて……
「……ありがと。一緒にいてくれて。」
私も、なんだか目頭が熱くなってきたよ。
「はは、俺はこれからも
ずっと一緒にいるけどね。」
「……うん、これからもよろしくね。」
自分で作りたいと決めたあの曲も
私は決して一人で作った訳じゃないんだって
そのことを絶対に忘れない。