居場所をください。



「…っていうか話ってそれ?」


あ、このさばの味噌煮美味しい。

見た目のわりに味が濃すぎない。

料理上手なんだな~。


味噌汁はあんまり好みじゃないけど。

ダシちゃんと入れてんのかな。


「まぁカウントダウンライブの話出たし

ついでみたいな感じで言っちゃうけど

里美と弘希がライブ行きたいんだって。」


「へー、それはありがとうございます。」


少しでも私に興味をもっていただけて

心から嬉しいよ、私は。


「……で、チケット回せねーかな、と。」


「は?」


「昨日FCの先行申し込む状況見たら

かなりの倍率だったから

チケットとるの、たぶんすげー大変なんだよ。」


「……だから、回せと?」


「まぁダメもとだけど

念のため聞いとこうと…」


長曽我部さんが遠慮がちにそういうから

私はお箸をおいた。


「このご飯はそのお礼、ですかね。」


「そんなつもりはないけど」


「お断りします。

前にも言ったじゃん。

そんなの平等じゃない。

来たくても来れなくて

外の音漏れを聞いてくれてる子もいる。

そんなの、長曽我部さんだって

知ってることじゃん。

朝早くから当日券に並んでる子もいる。

裏からチケット回してたら

そうやって苦労してる子を裏切ることになる。

倍率が高いからとかそんな理由で

関係者に頼む程度の人には

来てもらわなくて結構です。」


抽選じゃ、100%運になる。

だからわざわざ一般発売は先着順にして

当日券の枠まで作っているんだ。

どうしても来たい子は努力してくれる。

そこまでしてくれる子を一人でも多く

中に入れたいんだ、私は。


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