居場所をください。



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「ただいま。」


「あれ、おかえり。

早いな?」


「んー、まぁ。

長曽我部さんのお嫁様までいましたので。」


「お嫁様って。

……仲良くねーんだ?」


「全然。

たぶん長曽我部さんは仲良くしてほしくて

今日呼んだんだと思うけど

気まずいね、かなり。

それ加えて里美さんにチケット回せとか言い出すし

怒って帰ってきちゃった。」


「え、怒ったのか?」


「まぁ怒ってはないけどね。さすがに。

でも舐められたもんだな、って思った。

その程度なら来なくて結構です

ってちゃーんと伝えてきました。」


「……怒ってんじゃん。」


「でもね、長曽我部さんは

里美さんに仕事してるところを

見てほしいみたいだったから

裏で働いてくれるならいいよって

仕方ないけど認めたよ。

……最後だから。長曽我部さんが

私のそばにいるのも。」


最後くらい、ね………


「……ま、だから俺にも

チケットは回さねーぞ、と?」


「当たり前です。

来たければ自力できてください。」


「ま、絶対行くからいいけど。」


「え、本当に?来てくれるの?」


「行かねーと、美鈴と年が越せないからな。」


「ふふ、ありがと。

……ね、明日は外でご飯食べない?

待ち合わせてさ。」


「あぁ、いいよ。

どこにする?」


「銀座でお寿司。」


「……お前もすっかり芸能人だな。」



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