居場所をください。
「へー、楽しかったんだな。」
「読むのはやっ。」
さっき更新したばかりのブログを
貴也はもうスマホで読んでいた。
「よかったじゃん。」
「……まぁ、一高には
全然いい思い出なかったしね。
ちょっとは見返せたのかな。
私、ずーっと言ってたんだよね。
親がいないから、何?って。
それがどうしたって。
一番気にしてたことだったんだけど
親がいなくても、絶対幸せになってやるって
ずっと思ってたの。
そんなことには絶対負けないって。
実際さ、一緒に育ってきたお姉ちゃんたちは
親がいなくてもみんな結婚してったのね。
相手の親に挨拶に行くの怖がってたけど
それでもみんな結婚してったから
絶対私も、って。
だから少しは見返せたのかも。
なんたって私たち、
憧れのカップルナンバーワン
みたいだしね?」
「はは、そうだな。」
……結婚はダメ、か。
まぁあんまりまだ考えたことないもんな。
まだ子供だし…今のままでも
全然幸せだしな。
「そういえば隼也って彼女できたのかな。」
「え、前のは別れたわけ?地元のやつ。」
「え、別れたよ!いつの話してんの。」
「へー、知らなかった。」
……隼也は何歳で結婚するのかな。
咲さんは何歳で結婚するのかな。
まだまだ子供過ぎな私には
あんまり現実味がないや。