居場所をください。
まぁいいや、と切り返して
とりあえず久しぶりにマスターのご飯だ。
「いらっしゃい。」
「こんにちは。」
「ハヤシ2でいい?」
「いいよ。食後にコーヒーな。」
「はいはい。」
今日もガラガラ、というより
お客さんは誰もいない
この安定した静けさが大好きだ。
「美鈴、写メ。」
「はいはーい。」
貴也は今日ブログ書くのかな。
珍しく貴也のスマホで1枚。
「マスターは今日私のライブ
来てくれたりするの?」
「はは、さすがに行けないよ。
誠は行くみたいだけどね。
必死でチケットとってたよ。」
「へー、そうなんだ。」
「俺はテレビの前から応援しとくよ。」
「うん、ありがと。」
倍率が高かったみたいだけど
15000人のうち、
何人私の友達が来るんだろう。
そして何人が私と一緒に
年を越してくれるのだろう。
会場にいる人、会場外にいる人、
テレビの前の人……
一人でも多くの人が
私と共に年を越したいと
思ってくれたらいいな…
「はい、ハヤシライス。」
「ありがと。
いただきまーす。」