居場所をください。



「"灰色で薄暗いこの世界

またひとつの新しい種が

芽を出した事に気づいたのは

もうずいぶんの前のことで


あなたは私に言いました

その花を咲かせてみようと"」


ねぇ、覚えてる?

私と出会った日のことを。

俺が咲かせてやるって

長曽我部さんがいってくれたこと

私は一度だって忘れたことないよ。


「"サングラスをかけ色を隠し

見向きもしなかったあの子は

いつの間にかあなたに

たくさんの色を教わっていた


青い空も青い海も木々の緑も

透き通っていた川も

この世界がこんなに綺麗なものだと

あの子は知らなかったよね"」


一緒に登った富士山

あれは本当にきつかった。

…私が登りきれたのは長曽我部さんがいたから。

あそこから見た空。

初めて見たご来光。

とってもきれいだったよね。

一緒にいった伊豆の旅館で見た海も

あんなにキレイな海は

生まれて初めて見たよ。

みんなで行ったバーベキューも

キレイなところだったよね。

……日本って、こんなにきれいなんだって

私はずっと知らなかったよ。


「"ほら 小さかったあの芽は

大きな大きな蕾をつけ

今にも咲きそうで

蕾もつかないこの花を

あなたがたった一人で

ここまで育てあげたことを

私はずっと忘れないから


この芽が大きな花を咲かす瞬間(とき)を

私はあなたと一緒に見たい"」


一緒に歩んだ来た道のりは

どれもこれもが本当にきつかったけど

それでも頑張ってこれたのは

全部全部、長曽我部さんが

いつだってそばにいてくれたから。


「"一つの光に向かって顔を向けるその花は

今この瞬間をずっと待っていました

灰色のこの世界に輝くその光に向かって

散り行く運命(さだめ)と知りながら

今大きな花を咲かせよう


綺麗に咲くことができなくても

それでも咲くことのなかった花を

あなたがたった一人で咲かせたことを

私が誰よりも知っているから"」


長曽我部さんが本当に

どれだけ私のために頑張ってくれたか

それを全部知ることはできないけど

それでも、長曽我部が私にしてくれたこと

私が一番知ってるはずだから。

ずっと見てきたから…


「"幼き僕は言葉を振り回し

傷つけてしまったこともあるけれど


私はもう大丈夫

独りじゃないとわかったから

もう夜は怖くない

私の居場所はあなたがくれたから"」


ね、私はもう大丈夫だから。

長曽我部さんがいなくたって

私は私のために、応援してくれる人のために

そして、ここまでしてくれた

長曽我部さんのために

これからも頑張っていくから。

だから、安心してね。


「"Ah 私は今あなたのためだけに歌おう

他になにもできない 歌しかない私は

あなたのたくさんの愛に救われた


Ah 儚く美しき花をあなたに捧げます

そして私は私の言葉であなたに伝えよう

誰よりもあなたを愛していると

そして心からのありがとうを"」


たとえ長曽我部さんが結婚しても

私がきっと一番に長曽我部さんを愛してる。

私が貴也と結婚しても

私の一番は、長曽我部さんだから。


「"この花が散りゆくその瞬間も

そこからでいい どうか見守っていて"」


たくさんの愛に気づけたから

私はもう一人じゃないから

頑張る長曽我部さんに誓った

簡単には諦めたりしないって


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