居場所をください。



結局また涙が出てきて、

私はその涙を自分で拭った。


「……今日で、長曽我部さんは

私のマネージャーを引退します。」


そしてやっと、私は来てくれたみんなに

その事実を話した。


「…私に声をかけてくれたあの日から

長曽我部さんは私と一緒に

ずっと走り続けてくれた。

きっとそれでなにかを失ったこともあるだろうし

身体が辛かった日もあると思う。

それでも私のために本当に一生懸命だった。

本当にただの高校生だった私を

笑うことすらしなかった私を

長曽我部さんはたった一人で磨きあげた。

どんだけ辛くても、長曽我部さんがいたから

私は笑えるようになった。

涙も流せるようになった。

わがままも言えるようになった。

…誰かに愛されていると

知ることもできた。

本当に長曽我部さんにはいろんなことを教わった。

私は、長曽我部さんがいなきゃ

空っぽのままだった。


だから本当に、この2年半

ありがとうございました。」


溢れだした涙は

やっぱりもう自分では制御できない。

だけどこの涙も、

これからは自分で拭いていく。


いっぱい困らせたこともあっただろうけど

それでも諦めないでいてくれて

いつだってそばにいてくれたのは

長曽我部さんだったから。


だから、心を込めて、愛を込めて

私は頭を下げた。


心からの感謝を伝えるために。



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