居場所をください。



━━1月1日 14時32分


「はい、受理しました。

おめでとうございます。」


私たちは晴れて夫婦となった。


「祝日でも受理してくれるんだね。

とりあえず預かって~、かと思ってた。」


「まぁ自治体によるんだろうけど

ここは平気だな。

今日確実に受理されるために

何回も通ったわ。間違いがないか。」


「え、そうなの?」


「間違いがあったり、俺らみたいな未成年は

同意書も必要になるから

不備がないかとかも見てもらったしな。」


「へぇ…いろいろありがとうございます。」


「でもこれで

美鈴も松野美鈴になったな。」


「はは、慣れないよー。」


「つーことでとりあえず写メな。」


といって、貴也は

区役所の前でスマホを構えた。


「え、ここで?」


「そ、人もいないしな。

あの長曽我部親子両方から

籍をいれたらSNSでいいから

まず報告をしろ、と指示が来てるから。

どっかで抜かれる前に先に、ってさ。

どこで記者が見てるかわからないしな。」


「ふーん、それもそうだね。」


「顔、どうすんの?

普通でいい?」


「全力の笑顔で。」


「はいはい。」


ということで私たちは

これでもか!というくらい笑ったのだけど

実際はもっともっと、私の心は

花が咲いていた。


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