居場所をください。



そんなこんなでついた

昔よく来てた神社。

そこまで有名でもないから

人もまばらなのに


「ありがとー!」


なぜかここだけ、

人だかりがすごい。


「俺先行くわ。」


そういって亜樹がもう歩き出したから

「なら俺も」と瑠樹がついていき、

「じゃあ俺も」なんて俺も歩き出そうとしたら


「まさか弘希まで

俺を見捨てないよな?」


と父さんががっつり腕を掴んできた。


「……俺関係ないし。

ってか俺になにができんだよ。」


「俺一人でこの三人連れてくのは

さすがに無理なんだよ。

とくに隼也は熱狂的なファンも多いし

俺は隼也つれてくから

弘希は他頼むわ。」


他頼むわ、って。

どうみても貴也と美鈴の周りの方が

人が多いじゃねーかよ。


「…もう美鈴の顔が疲れてる。

それに貴也も気づいてるから

そろそろ動き出すから。」


父さんはそういって

大谷隼也に近寄った。


それを見た貴也は


「じゃあ、俺たちこのあと仕事だから

そろそろ行くね。

みんなありがとう。」


と、気持ち悪いくらいの

可愛い笑顔で、美鈴の肩を抱いたから

仕方ねーし、俺も近づいた。


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