居場所をください。
「あ、大吉~!
幸先いいなぁ。
貴也は?」
「吉。まぁ可もなく不可もなく?
暴飲暴食には気を付けましょう、って。」
「貴也が?それはないから大丈夫だね。」
「しかも美鈴の飯なら
ヘルシーだからめっちゃ食っても
大丈夫そうだよな。」
「はは、そうだね。」
この二人、本当にずっと喋ってんな。
飽きたりしねーの?
「弘希、落としてるけど。」
二人のことを見ながら財布をしまってると
亜樹が横に来て、そう教えてくれ
下を向くと俺のおみくじが落ちていた。
「ほんとだ、サンキュ。」
そういって、手を伸ばして
おみくじを取ろうとすると
「うわっ!」
強風がついて、
俺のおみくじが飛ばされてしまった。
「ちょい取ってくるわ。」
といっても、すぐそこの
絵馬のところで止まってる。
とりあえず遠くまで飛ばなくてよかったわ。
「よっ、と。……ん?」
手を伸ばしておみくじをとると
ふと、一番下にくくられた
絵が目に入った。
"誰もが羨むくらい長曽我部さんに
最上級の幸せを"
名前は書いていない。
だけど…そんなの、書いてなくても
誰が書いたかなんてすぐにわかる。
そしてなんとなく見上げれば
"美鈴が幸せな家庭を築けますように"
と、父さんの字で書かれた絵馬もあり
……結局、あの二人は
お互いのことが好きで仕方ないんだ。