居場所をください。



「その服どっかで見たことあるな。」


「あぁ、これ?

デビューの日に着てたの。」


「あー、そんな前か。」


「ちょっとゆるいし、

やっぱ痩せたんだなーって思うね。

手直ししたもん。」


「でもなんで着替えたわけ?

着物でもよかったじゃん。」


「んー、まぁこっちのが楽だし

なんとなく、初心に戻りたかったんだよね。」


私を宝物だと言って

キラキラに仕上げたあの日

この靴に足を通した日

このネックレスを初めてつけた日

あの日、あそこから

私の全ては始まった。

長曽我部さんと一緒に

あの日から、走ってきたから。


「ふーん?

それより何階?」


「確か22階。

パーティ会場貸し切りにしてるの。」


「いちいち華やかだよな、本当に。」


「まぁまたみんなには頑張ってもらいたいし

こういう機会じゃないと

なかなかできないような場所で

やりたかったんだよね。」


こんなところ、

子供の私じゃなかなかこれないもん。


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