居場所をください。


━━22階


"Aプロ 五十嵐学園様"


「五十嵐学園って。」


「あぁ、それハルが決めたの。

おふざけ感が私たちらしいでしょ。

写真撮って。」


「はいはい。」


今日は貴也がカメラマン。

持ってきたカメラを

貴也の首から下げておく。


「ん、いい?」


「うん、オッケー!

じゃあいこ。」


主役は遅れて登場。

と、いうことでドアを開けてもらった。

いいホテルだけあって、ホテルマン付き。

お嬢様にでもなった気分。


「こんにちはー」


中へ入るとかなりワイワイしていて

お馴染みのメンバーから、

実は見たことすらない人までいる。


「あ、美鈴ちゃーん!こっち!」


そして奥で私を呼ぶハルを見つけて

貴也を連れてどんどん奥へと進んでいった。


「みんな早いね。」


「美鈴ちゃんが遅いんだよ。」


基本的にはスタンディングパーティ

……なのにここにはなぜか

ソファが置いてある。


「ここ私の席ってこと?」


「他にいないじゃーん。」


二人掛けのソファに、

私だけが座るこの景色。

……違和感。


「美鈴ちゃん、飲み物何にする?」


「あ、佐藤さん!」


佐藤さんはいつも通り、

スタイリッシュに私に

ドリンクメニューを渡してきた。


「……なんかカタカナが並んでて

よくわかんないから

佐藤さんのおすすめで。」


「はは、わかったよ。」


なんか、ノンアルコールに限らず

ソフトドリンクやコーヒー、紅茶すら

カタカナだらけで

目に入ったのはただひとつ

"緑茶"


ダメだこりゃ、という感じで

もうなんでもいいや。


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