居場所をください。



「はい、美鈴ちゃん。

とりあえず紅茶にしたけどいい?

ノンカフェインの方がいい?」


「あー、これでいいや。

もう眠くて眠くて。」


「じゃあ挨拶お願いねー。」


「え!私が!?」


「そりゃそうでしょ。

主役だし。」


……まじかよー

結構な人数いるのに私かよー…


「はい、美鈴ちゃん立って立って!

俺もう早く飲みたいんだから!」


と、ハルの片手には

口につけられていないお酒がひとつ。

こいつももう成人か……


「えーと、じゃあ…えー…」


「美鈴ちゃん、マイクあるけど使う?」


マイクって。

佐藤さんどこまで準備いいのさ。


もういいや。

やってやるわ。


気合いを入れて私は

マイクをONにした。


「皆さん、明けましておめでとうございます!

えー、私が途中からはちゃめちゃなことを

言い出したりしたから

もうライブはできないんじゃないかってくらい

間に合うかもわからないくらい本当に忙しくて

でも無事に幕を開けることができて

本当によかったです。

本当にみなさん、ありがとうございました!


えー、明後日には次のツアー始動しますが、

ここにいるほとんどの人が

また呼ばれていると思います。

なのでまたよろしくお願いします!

そしてお疲れさまでした!

今年もよろしくお願いします!

ってことで、カンパーイ!」


紅茶だけど。

私は紅茶だけど。


いいのさ、別に。



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