居場所をください。
高橋瑠樹編
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大学1年、夏
今日でまた一週間が終わる。
「なぁ、瑠樹~。」
「なんだよ。」
「飲みいきたい。」
「勝手にいってろよ。
俺バイトだし。」
授業中、隣に座るこいつ…橋下裕太は
毎日そんなことを言っている。
未成年の癖にな。
「出たよ、バイト。
お前はいったいなんのバイトをしてるんだ!」
「楽に稼げる正当なバイトだから
誰にも教えることはできないな。」
「だからなんだよ、それー。」
ただ、行き帰りはバッタバタだけどな。
おかげで今日もすぐに向かわなきゃだし。
え、と…確か今週は大阪だったな……
美鈴はもう行ったんだよな。
あいつ、食べたいものがたくさんあるとかいって…
仕事じゃねーのかよ。
「そうだ、これ。
来週なんだけど瑠樹行けねー?
バイトー?」
「なに」
と、裕太のカバンから出てきたのは
まさかの美鈴のライブチケット。
しかも東京公演、最終日。
これ、スタジアムなのにすげー倍率だったって
颯太が苦労して取ってたような……
「……これ、どうしたわけ?
裕太ファンなの?」
「んー、まぁ取れたから行ってみようかなーと。
可愛いし、席もまぁまぁだしな。」
「見た目かよ」
「すげーファンなわけではないんだけど
とりあえず可愛いしって感じ。
で、行けんの?行けねーの?」
「そうだなー…」