居場所をください。



「ってか泳がねーの?美鈴。」


「はぁー?待っててあげたんでしょうが!」


……とかいいつつ、しっかり五十嵐美鈴。

なんだこれ。


「美鈴、俺と瑠樹と長曽我部さんで

ここで荷物番してるし

先に海行ってくれば?」


「え、貴也は行かないの?」


「俺はあとで。

ちょい佐藤さんに連絡しなきゃだし。」


「じゃあ高橋はいいじゃん。

行こうよ。」


「長曽我部さんが瑠樹に用があるんだと。」


……え?


「ふーん?わかった。

じゃあ先行くね。

あ、長曽我部さんもあとで遊ぶんだからね!」


「暑いのはパス。」


長曽我部さんの返事なんか聞いてないかのように

さっさと着ていたパーカーを脱いで

大谷隼也とさゆと裕太を連れて

美鈴は海へと走っていった。


「見たかよ、あの腹筋。」


「色気もくそもねーな。」


ま、美鈴らしいっちゃ美鈴らしいけど。


「……で、俺になんか用?

わざわざ俺だけ残して。」


「ま、座れば?

暑くねーの?そんな日向にいて。」


「そりゃあちーに決まってんだろ!」


つーことで、俺もパラソルの下のシートに座った。

長曽我部さんなんて寝てるし。

この人のこういうところ、初めて見たわ。



< 4,409 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop