居場所をください。
「今日、なんでいきなり海なわけ?」
「別に。言い出したのは裕太だし。
……ただ、美鈴が寂しがってんのが
なんとなく裕太にも伝わったんじゃね?
ライブで海いきたいとか美鈴も言ってたし。
俺らさ、高校生の間は少なくとも月1で
焼き肉行ってたじゃん。
でも大学生なってからは、4月の1回きり。
それ以外はライブの時にちょっと会うくらいで
飯とかはぜんっぜんなかったわけだよ。
まー、だからか美鈴なりに
寂しがってんのかなーって。
……あのライブいったら、誰でもそう思う。」
あんな思いっきり俺を見ながら
あれを歌ってる美鈴を見たら、な……
「…あの新曲、思いっきり瑠樹宛だもんな。」
「だよなー…
なんつーか…俺がリア充過ぎて
美鈴もこっちの世界に戻りたい感が
めっちゃ伝わってくるんだよな。」
そこから見る私は滑稽ですか
笑い飛ばしてください、なんて……
「……美鈴さ、予想より遥かに
早く、大きくなったもんな。」
「だからさ、少しでも俺の仲間と
仲良くなればまた違うかなーと思って
今日誘ってみたんだけど
あれじゃあな…」
「ま、あんなもんだろ。
あんなにこにこした美鈴って
瑠樹はあんまり馴染まないかもだけど
最近の美鈴はずっとあんなん。
別に無理してるわけでもないっぽいし
隼也相手のときとはまた違うけど
まー大抵にこにこしてるし。」
「……なんか、気持ち悪いわ。」
「ほら、それだよ。
そこから見る私は滑稽ですか
笑い飛ばしてください、ってやつ。」
う、わ……
俺の考えてた歌詞の部分
がっつりわかってんじゃねーかよ…