居場所をください。
「午後は美鈴とファッション誌だったよな?」
「そうです。
美鈴はそれで終わりで、そのあとは貴也と打ち合わせです。」
「今日は美鈴のが先か。」
「それとこれ、美鈴の歌詞データです。
秋に出すシングルと、来年夏に出すアルバム数曲で、来年春に出すシングルはまだとのことです。」
「あぁ、わかった。」
歌詞チェック、なんてもう俺の仕事ではないのに
佐藤は必ず俺にも渡す。上田だけでもいいはずなのにな。
「そういえば小春、伸び悩んでますね。」
「まぁデビューしたばっかだしな。
しかもチーフマネはあの山村。
あいつ仕事しねぇからなー。」
「はは、なのにチーフマネにしておくなんて、長曽我部さんらしいですね。」
「ちゃんとやりゃできるのに。」
仕事できねぇやつに、そんな地位にはさせねーのに。
ちゃんとやりゃ、すげーできるやつなのに。
なんてことを話しつつ、食堂に到着。
やっと飯にありつけるわ。腹減ったー。
「長曽我部さーん!」
「うわっ!…って、また美鈴かよ…
そのタックルいい加減どうにかしろよ」
「だからタックルじゃないってば!!」
「で、なにしてんだよ。
美鈴今日は午後からだろ。」
「まぁ貴也は朝から撮影でいなくて暇だし、トレーニングにね。
このあとは佐藤さんとだし、ならここでご飯食べようかな、と。」
「で、俺がいたから奢ってもらおうとでも?」
「あわよくば。
サラダうどんね!」
あわよくば、とかいいつつ注文してんじゃねーかよ。
まぁいいけどさ。
「っていうか佐藤さん!
なんで美容院あんな遅い時間なのさ!!」
「だって美鈴ちゃん、大忙しだから。」
佐藤のその一言に、美鈴は静かになった。
俺にはいつもぶつぶつ文句いうくせにな。