居場所をください。
それから美鈴が内診室から出て来て最後に
「絶対に無理はしないこと。
頼れる人には頼ること。
そしていつも気を休めること。
ストレスが一番よくないからね。」
そう、釘を刺された。
「はい。」
先生からの言葉を、美鈴がしっかりと受け止め、今日の診察は終わった。
「俺今日美鈴んち泊まるわ。」
「え、うちに?なんで?」
「体しんどいだろ。貴也もいねーしな。
先生も言ってたろ。
頼れる人には頼ること、って。」
「……じゃあ今日はお願いしようかな。」
「普段から、もっと頼ってこいよ。」
「え?なに急に」
「俺が籍入れてから、美鈴ずっと里美のこと気にかけてるだろ。
気にして、俺に頼らなくなったろ。
前にいったろ。俺はお前の兄貴なんだから、もっと甘えていいんだよ。
里美も弘希もちゃんとわかってるし、俺も二人にはちゃんと伝えてあるから。
……だから、美鈴はなにも気にせず前みたいにもっと甘えろよ。
貴也だけじゃなくてさ。
美鈴、前に言ってたろ?
俺が仕事のことで口出さなくなったから寂しいって。
俺もそれと一緒。
全てを貴也に任せて口出しできなくなったことも、美鈴がなにも頼ってこなくなったことも、俺にとっては寂しいこと。
仕事のことで口出さなくなったのは、美鈴が前と違って俺がいなくてもちゃんと仕事をするようになったから。
美鈴がいつまでも歌詞のペースが遅ければまた監禁して書かせる。
寂しいならさ、そんな早く大人になるなよ。
いつまでたってもどうしようもない美鈴でも、俺は絶対に見捨てたりしねーから。」
……はじめて、かもな。
こんな真っ正面から美鈴に気持ちをぶつけたのは。
でもこの不器用で、人付き合いが下手くそなこいつには、このくらい直球に言ってやらねーと、伝わんねーから。
「…はは、そっか。
私、子供でいていいのか。」
「当たり前だろ。」