居場所をください。
━━翌日
あれから、美鈴は随分と素直になった。
大人になるのをやめたのか、また子供へと逆戻りした。
……いいんだけどさ。
「お腹すいた~。ご飯まだー?」
……ガキか。
「もうできるわ。待ってろ。」
「そういえば今日私打ち合わせでしょ?
乗せてってよー。」
「打ち合わせも、カウントダウンライブのやつだったからバラシだ。
お前は家でおとなしくしてろ。」
「えー、じゃあお昼ご飯はどうするの?」
「そのくらい自分で作れよ。」
「めんどくさい。貴也もいないし。」
……なんなんだ、こいつは。
なんでこうも極端なんだよ!!
「…はいはい、わかったよ。
じゃあ昼にまたくりゃいいんだろ。」
「え!ほんと?やったね!
やっぱ持つべきものはできる兄だね。」
「調子乗んな。」
「昨日はあんなに優しかったのに~」
「っていうか今日は調子いいのか?」
「うん。絶好調だね。仕事できるよ。」
「そ。ならあとで佐藤がアンケート持ってくるから、それ書けよ。」
「あ、体調悪い。吐きそう。」
「調子いいやつ。」
別にいいんだけど。
いいんだけどさ…いいんだけど
遠慮ってもんはねーのか?
「ほらよ、飯できた。
俺もう行くからな。」
「うん、ありがとね~。」
「あ、それと仕事帰りに里美が寄るってさ。」
「えー、了解。起きてます。」
「行ってくるからなー」
「行ってらっしゃーい」
……ま、美鈴がいつも通りならそれでいいか。
俺を頼ってくれるなら、それで。
長曽我部ひかる編 E N D