居場所をください。
「佐藤さんはまだ咲さんと結婚しないの?」
「んー?またそれー?
しないってー。」
「だけどもう佐藤さんもいい歳じゃん。」
……またこの子は…
「俺まだ27なんだけど?」
「いやいや、もう結婚適齢期でしょ?
だって咲さんだってもう21だよ?
私なんて19で妊婦だよ?
十分じゃん。」
「美鈴ちゃんが早いの。」
「そんなこと言ってるから日本の晩婚化と高齢出産が増えるんだよ。
ほら、少子化対策だよ。」
……なんか、だんだん母さんとか婆さんに似てきたな。
実家帰ってる気分だわ…
「咲さんだって待ってるかもよー?」
「それはどうかな。」
……確かに、付き合ってけっこうたつけど…
でも、一般的に21歳の女性にそこまで結婚願望はないはず。
…そうだよな。美鈴ちゃんが特別なだけ。
「ただいまー」
お。
「おかえり。」
「…なんで佐藤さん?」
「貴也おかえり。
仕事以外で佐藤さんがここにいたら、それは不倫じゃないかな?」
なんて、美鈴ちゃんが笑いながら言うから俺も笑ってしまった。
「時間も時間だしね。」
なんてったってもう21時。
主人が留守の間に訪ねる時間でもない。
長曽我部さんが知ったら怖いわ。貴也よりもそっちが。
「じゃあ俺帰るね。
貴也は明日12時入りだからな~。」
「はいはい。」
「おやすみなさーい」
「おやすみ~。」
……いいにおいしたな。
貴也はこれから飯か。
俺も腹減ったー…