居場所をください。
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「それに、たとえ咲さんがアイドル時代のファンを裏切っていたってことがバレて怒るファンだってそりゃいると思うよ。
だって本当に咲さんのことを信じて応援してきてくれたんだもん。
……でもね、本当に応援してくれる人は怒ったって、絶対受け入れてくれるよ。
だって、ファンってそういうものでしょ?」
長曽我部さんがリビングのテレビに夢中になっている中、美鈴ちゃんは俺にそういった。
すごくすごく真剣な顔をして。
「間違いを犯したときは怒ってくれる。それはとてもいいことだと思う。
でもそれをちゃんと反省したら、きっとみんなは許してくれる。どんだけ恨んだとしたって、大好きなら…絶対ね。」
「……どうしてそう思うの?」
「だって、私がそうだったから」
「…え?」
「私って16年間、ずっと親を憎んでたんだ。
それでも今はもう恨んでない。憎んでない。
むしろ感謝すらしてる。
だから、それはきっと咲さんのファンだって一緒。
もし私が咲さんの立場なら勘ぐられるぐらいならちゃんと話して、罰を受けて、そして受け入れてもらう。
きっと私じゃなくても咲さんはそうするよ。
だって咲さんがどれだけ真剣にアイドルをやってて、どれだけ真剣に佐藤さんを好きになってるか、私は知ってるもん」
……真剣に、か…
そう、だな……きっと、咲がアイドル人生をどれだけ真剣に歩んでいたか、それは俺がいちばん知ってる。
一番そばにいたのは俺だから
「…でも、たくさんのファンがそれで離れたら美鈴ちゃんはどうする?」
「そんなの、決まってるじゃん
私は自信をもって、愛してますって伝える。
たとえ嫌われたってさ、離れたって私は愛してる。
だって今の私がいるのはみんなのおかげだもん。
私の犯した罪のせいで離れていくのは仕方ないよ。でも私は嫌いにはなれない。
……でもさ」
「でも、なに?」
「本当に咲さんのことが好きなら、きっと離れていかないよ。
どれだけ傷つけられたって私は離れられないもん。
だからきっと大丈夫だよ。」