居場所をください。



「どんな曲?」


「ん、見る?」


子供達はすっかり寝入った深夜1時。
妊婦なんだから早く寝ろよと思いつつ、俺は美鈴の横に座った。


えーと?


『私にくれたはずの"大好き"が
今 あの子にも届けられる
私にくれたはずの"大好き"は
いったい どうすればいいの?』


「なんだよ、失恋かよ
めずらしいな」


あんま失恋の歌なんて書かねぇのに。


「だってね、貴也」


な、なんだよ…そんな悲しそうな顔して…
俺浮気なんてしてねぇけど……


「朝陽、好きな子できたんだって!」


「・・・はぁ?」


「今までママが一番だったのに!
いつの間にか保育園で彼女作ってんの!」


「彼女?ずいぶん早ぇな」


「でしょ!?
優奈ちゃんっていうんだって~
今日お迎えに行ったら一緒に手繋いで出てきたの。
もうママより優奈ちゃんだよ?
優奈ちゃんとバイバイしたくないからって帰るのすっごい嫌がったんだから。」


……で、失恋の歌なわけな。
まぁわかんなくはねぇけど…やっぱ男と女の差なのか?
俺にも娘がいたらそうなるのか?


にしても彼女って。ませてんな。
まだ3歳なのに。




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