居場所をください。
監督が確認してOKがでて
撮影が終わった。
「美鈴、一緒に帰ろ。」
「あ、うん。」
「永田さん、美鈴借りるね。」
「おう、お疲れ。」
私は隼也とスタジオを出た。
「飯、どこ行く?」
「前行ったもんじゃ!」
「おう、いーね。」
私たちはタクシーを拾って
第一高校近くのもんじゃ屋さんに向かった。
「実はキスシーンさ、
練習ではするふりだったけど
本番ではちゃんとしなきゃいけなかったんだ。」
「え?」
「だけど嫌だろ、美鈴。
俺も仕事でキスなんてしたくなかったし。
だからするふりで終わらせた。
すげーだろ、俺の演技力。
あれでOK出たし。」
………なんだ、この人。
すごいいい人じゃん。今さらだけど。
「……………ありがと。」
「どういたしまして。」
しばらくして、もんじゃ屋さんについた。