居場所をください。



監督が確認してOKがでて

撮影が終わった。



「美鈴、一緒に帰ろ。」


「あ、うん。」


「永田さん、美鈴借りるね。」


「おう、お疲れ。」


私は隼也とスタジオを出た。


「飯、どこ行く?」


「前行ったもんじゃ!」


「おう、いーね。」


私たちはタクシーを拾って

第一高校近くのもんじゃ屋さんに向かった。


「実はキスシーンさ、

練習ではするふりだったけど

本番ではちゃんとしなきゃいけなかったんだ。」


「え?」


「だけど嫌だろ、美鈴。

俺も仕事でキスなんてしたくなかったし。


だからするふりで終わらせた。

すげーだろ、俺の演技力。

あれでOK出たし。」


………なんだ、この人。

すごいいい人じゃん。今さらだけど。


「……………ありがと。」


「どういたしまして。」



しばらくして、もんじゃ屋さんについた。



< 461 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop