居場所をください。
だんだん聞こえる夏音の声。
「………仲のいい友達と聞いてますけど…。」
「それだけですか?」
……………なに、マスコミ?嘘でしょ?
「夏音。」
私は夏音を呼んだ。
「あ、五十嵐さん!
大谷くんとは順調ですか!?」
……………やっぱマスコミですか。
「はい。仲いいですよ。
友人として。
私の友達にまで声をかけないでください。
夏音、行こ。」
私は夏音の手を引いてすぐにタクシーを拾った。
「ごめんね、夏音にまで。」
「ううん、私は平気だよ。
美鈴も大変だね。」
「もーいい加減にしてほしいよ、ほんと。」
ただの友達なのにね。