居場所をください。
「それからね、
私にも愛してくれる家族がいたんだって思えたら
なんか私も幸せな気分なんだよね。
今は歌手とマネージャーの立ち位置だけどさ。」
「そっか、よかったね。
美鈴も人間らしくなったね。」
「はは、ほんとだよね。」
私たちはお互いCDを買ってお店を出た。
「私もダテメガネ買おうか悩んでるんだよね。
前髪隠すだけじゃバレバレみたいだし。」
「うん、バレバレだね。」
それから私たちはファッションビルへ入った。
「す、すみません、五十嵐美鈴さんですか?」
「え、私?」
「やっぱそうだー!」
キャアキャア言う女子高生2人組。
「本物かわいー!」
「握手してください!」
「あ、はい。」
私なんかと握手して何が嬉しいんだか…。
「応援してますー!」
「あ、ありがとうございます。
それじゃあ…。」
私はそそくさとのその場から逃げた。