居場所をください。
そして映画撮影当日ー
「よろしくお願いします。」
私の予想は的中し、朝5時入り。
早い。寒い。しかも、待機。
「じゃあまずは貴也くんと沙耶香ちゃんね~。」
しかも最後のキスシーン。
「なにが嬉しくてキスシーンなんて見なきゃいけないわけ?」
私は長曽我部さんに愚痴る。
「まぁ機嫌良く頼むよ。」
「私こんな早く来る必要あった?」
「俺が決めたんじゃねーし。」
「はー、眠い。
こんなんじゃ声でないし。」
「声出ししてこい。」
「はいはい。」
ちょうどいいわ。
私は暖かいロケ車へ戻った。
ここなら撮影に支障ないでしょ。
私は発声を始めた。