居場所をください。
私の願いは虚しく消え
そのまま社長室へ連れていかれた。
「失礼します。」
お兄さん、お腹すいたってば。
私お昼11時だったよ。
もう21時だよ。ねぇ。
「悪いな、永田。
こんな時間に呼び出して。」
「いえ、大丈夫です。
美鈴、お疲れ。」
「お疲れさまです。」
私は空腹でもう元気がないよ。
「それで、話とは…?」
「あぁ、永田。
美鈴のマンションに貴也が出入りしてるって
沙耶香に言ったのお前だろ。」
「…え?」
「沙耶香は全然口開いてくれなくてさー、
そんな大事なやつに聞いたのかなと思ってたけど
まさかお前と永田が実兄弟だとはな。
さすがに驚いた。」
「……………どうして…。」
「前に私、永田さんちに行ったじゃん。」
「は?」
あ、やばい。
長曽我部さんに言ってなかった。
「……………で、女物の香水の香りするって言ったじゃん。
そしたらそれ、妹って言ったよね。
今日の朝、赤堀さんからも同じ香りしたの。
で、長曽我部さんに調べてもらったら
やっぱり兄弟だってわかったってわけです。」
「……………それで、なんで俺が沙耶香にいうんですか?」
「他にいねーんだよ。
美鈴のマンション知ってるやつ。
それに昨日俺に貴也のこと聞いてきたしな、お前。
沙耶香に頼まれたんだろ。」
「……………。」
「お前が安易に沙耶香にいうから
今日美鈴は散々だったよ。
沙耶香だって、そんな情報なければ
あんなことしなかったかもしれない。」
長曽我部さんが永田さんにいうけど
永田さんはなにも言わない。