居場所をください。



「そうだ、長曽我部さん。

私のCDって余ってる?」


「1枚でよければ今あるけど。」


「ちょーだい。」


私がそういうと長曽我部さんは鞄を漁った。


「はい。」


「サイン入りじゃん。

もしかして今日の生放送のプレゼント企画のやつ?

え、もしかして応募少なすぎて?」


「いや、俺が多く渡してた。

それに気づかず美鈴が全部にサインしたから

1枚余ってるってわけ。」


「ふーん。あげちゃえばいいのに。」


「俺もそう思ったけど

まぁいいやと思って。」


「まぁどっちでもいいけどさ。

ってことで貴也どーぞ。」


「さんきゅ。」


貴也は少し微笑んで受け取った。



「なに、貴也のかよ。」


「うん。」


「隼也とのキスシーンつきだけど。」


……………そうじゃん!


「やっぱ返して。」


「は?もう俺のだろ。」


「えー…。」


何が嬉しくて貴也にキスシーンを見られなきゃいけないの…。


「この男は隼也?」


ジャケ写を指差して言った。


「うん、そうだよ。」


「俺の力作。」


長曽我部さんが笑顔で言った。


< 652 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop