居場所をください。



翌日ー


俺は物音で目を覚ました。



「あ、悪い。起こしたか。」


「いえ。

長曽我部さんもう行くんですか?」


「まーな。

俺もなかなか忙しいだろ。」


時間を見るとまだ6時。

次期社長なのに早い出社だな。


「長曽我部さん、

俺美鈴が好きです。」


「だから?」


「美鈴も俺のこと好きなんですよね?」


「なんで俺に聞く?」


「本人には聞けないからです。

美鈴に聞いて、好きと言われても

俺は断るしかないじゃないですか。」


「………さすがに俺の指示には従うか。」


「長曽我部さんは俺に気づかせるようなこと

たくさん言ってましたよね?」


「気の毒だからな。

両想いなのに告白すらできないお前らが。

16歳で恋愛より仕事優先のお前らが。


二人は会社によく貢献してる。

だからそのくらいはな。

だから今はくっつくなよ。」


「あの、ここで二人で会うのは

許してもらえるんですか?」


「美鈴が望めばな。」


「ありがとうございます。」


「お前のためじゃねーし。

今までなにもできなかった妹への償いのつもり。


じゃあ俺いくわ。

戸締まりしっかりしろって言っといて。

朝飯作ったからちゃんと食えよ。

あと美鈴は7時までには起こして。

リズム狂わせないように。」


「わかりました。」


「じゃな!」



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